第3回Medical Coaching学会学術大会 要旨

※第3回Medical Coaching学会学術大会 は終了しました。

今年も11月15日・16日の2日間に 第3回Medical Coaching学会学術大会を行います。

     日時  11月15日(土) 15〜18時
         11月16日(日) 10〜16時
     場所  渋谷区内
          ※お申し込みの方にお知らせします

「Medical Coaching」は医療者のみならず、医療との強い関わりを持つ一般の方々にとっても重要な概念です。この機会にさらなる理解を深めていただきたいと思います。
 多数の方々のご参加をお待ちしております。

 以下 メディカルコーチング学会のブログです。
 お申し込み・お問い合わせは こちらからお願いします。

http://blog.livedoor.jp/drtwmedcommunity-medical_coaching_society/archives/40666798.html

           第3回Medical Coaching学会学術大会 要旨

               11月15日(土)、16日(日)

基調講演  「Medicine」から「Medical Coaching」そして「Functional Medicine」へ
                  H.Tomabechi(ドクター苫米地ワークス代表)

 過去2大会で「Medical Coaching」研究のために、様々な角度からその解釈をサポートしてきた苫米地英人博士が、次の新たなるステージへの提案をする。

           本セッション  < 場と承認 >

症例発表  現状維持の脱却に心理面接という場における承認が功を奏した一例
                                 T.Arai(臨床心理)

 遺伝性疾患と長年にわたる家族との不和を抱えたクライアントへの臨床心理面接を行う場において、クライアントのゴールを理解し承認する関わりが効果的であった症例を報告する。

症例 70代後半 女性 夫と2人暮らし 神経繊維腫Ⅰ型
 X年Y月に右側びまん性神経繊維腫の腫瘍内出血で緊急入院。患部右膝の痛みは強く、自立歩行困難。それ以前にも頭部出血による長期入院歴あり。
 皮膚科担当医によるとクライアントは長年の家族間の不和があり、特に配偶者からの協力や理解が得られず悩んでいることが原因で、今回も長期入院が懸念されていた。
 同時期に本人から「心の相談をしたい」との意向があり、臨床心理士である演者による関わりが開始され、8日間に4回の集中的な心理面接を行った。
 クライアントは担当医より症状が悪化し再入院する際には患部(脚)の切断が必要と云われており、症状悪化に対する強い不安を訴えると共に、夫への恐怖や生きる事の目的を持てず,悲観的な話題が繰り返された。そこで演者が夫の言動の特徴や特性を基に心理教育を行ったところ心理的な安定が見られ、身体症状も落ち着き、依頼から12日目に退院となる。
 その後外来では 夫婦関係や家族間の不和が改善し、自立歩行も可能になり、1年数ヶ月以上が経過している。
 今回、臨床心理面接という場に臨むにあたり、しゅうに1回50分という通常の構造化された面接にとどまらず、クライアントのコール達成を目的とするコーチングの枠組みを活用・維持しながら関わった。それにより、ゴールを見失いかけていたクライアントが、承認されたという認識をもつことにより自身のゴールに気づき、現状維持から、新たなコンフォートゾーンに移動したというプロセスが生じたと考えられる。

講演  情報空間論としての場と承認 〜場と承認の解釈〜
                           H.Onoe(機械システム工学)

 本大会のテーマで扱う「場」とは何か、「承認」とは何か、そして、それらの機能は何化という基本的な概念を明らかにする。
 場、特に医療場と承認を情報空間の存在として分析し、その場の変遷とそれに与える承認の機能と影響を考察し、「医療」を俯瞰的に見渡す試みを行う。

症例発表  慢性症状からの回復に必要なメディカルコーチングの視点
                              M.Suda(心療内科)

 クライアントの診断・検査・治療を施行して行く中で、メディカルコーチングの視点が有用であった2症例を報告する。
 症例1  72歳  女性 めまいと頭痛が持続、当院初診前には、毎年、数ヶ月ごとに食事摂取が困難なめまいが生じ、入退院を繰り返す。また夫婦間の不和、精神疾患を抱える家族への対応に苦慮し、抑うつ症状を呈していた。現状の枠を超えた目標設定をし、包括的視点で症状を捉え直す事ができた事から、数年ぶりに症状は著しく改善した。
 症例2  50歳  男性 BMI=33,8 咽頭痛 全身倦怠感で当院初診時にHbA1c>20%を認めた。糖尿病で他院通院中であったが、服薬コンプライアンスが悪く、他者との関係性の中で抑うつ傾向にあった。クライアントの目標は、HbA1cの改善ではなく、自身の目標に近づく事にある事を確認し、薬剤は減量した。1ヶ月後にはHbA1c9,3%、約3ヶ月後には7%となった。
 慢性的に繰り返す症状や病状を改善するには、症状やデータだけでなく、クライアントと他者の関係性について、クライアント自身の目標達成のための治療である事を、医療者側が承認し、クライアントの場の再構成に介入する事で、クライアントが主体的に症状を越えた目標設定をする事が重要である。

講演  歯科診療における「場と承認」の考察
                               K.Harigai(歯科) 

 医療の成立を、主に医療者とクライアントとの関係性、その発端と展開のプロセスを症例や実例を通して分析する。
場と承認の理解と認識の下で医療を行う事の重要性を提示する。

講演  「Medical Coaching」の再考  〜症例を通じて考える〜
                              M.Hashimoto(鍼灸)

 何故クライアントは治っていくのか、その時、医療者はどう関わっているのか。
その流れを症例から考察する。

共同発表  「Medical Coaching」

 現代医療において何故「Medical Coaching」が重要なのか。「Medical Coaching」を認知科学のパラダイムを用い、改めて考察・分析する事でその有効性を証明する。

症例発表  承認の過程を認識する事の重要性について
                                 N.Mineo(看護)

 下顎咽頭放射線治療中に気管切開拒否により声を失うまでと、その後のクライアントとの関わりの経過を報告する。日常のアセスメントを看護師の立場から、場と承認の視点で分析・考察する。

以上